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日本語版ローグ(Rogue 5.4)for macOS よもやま話 その5。<カウンターカルチャー>

以前の記事で公開したMac用日本語版ローグ(Rogue)についての雑談です。

ローグ5.4の和訳作業をしている時に不思議に感じたことの一つに、「幻覚をおこす水薬」で起こる作用がやたらと凝っているということがあります。モンスターやアイテムがめまぐるしく変化するのはプレイ画面を見ているだけでもわかりますが、例えば色が出てくるメッセージのときは表示される色の名前がランダムに変わったりしますし、メッセージの内容も幻覚時かそうでないかで変わるものが結構あるのです。それ自体はゲームの進行にはほとんど関係がないので、ほとんどが単なるお遊びの要素です。

↓ 例:「目が見えなくなる水薬」や「空中に浮き上がる水薬」で使用時のメッセージが変わる。

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これはローグの製作者が「幻覚」に強い思い入れを持っていた証なのではないかと思います。私がそう感じたもう一つの根拠として、ソースコードに隠された(?)名称があります。「幻覚をおこす水薬」は元の英語版では「hallucination」なのですが、ソースコードの注釈には「LSD」と書いてあるのです。つまりこの水薬は実在の幻覚剤であるLSDをモチーフにしたものだったことがわかります。

↓ ソースコードに「LSD」と書いてある

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アメリカでLSDが全盛だったのは60年代後半から70年代始めのサイケデリックブームの時期でしょう。ローグが作られた1980年はすでに収束に向かっていた頃でしょうが、まだ70年代の記憶は新しい時期でしょう。製作者もLSDの使用経験があったのかもしれませんし、少なくとも身近に感じていたのは確かでしょう。

ここで突然スティーブ・ジョブズの話題に移りますが、ジョブズは60年代の音楽や文化すなわちカウンターカルチャーが大好きな人で、ボブ・ディランビートルズのディープなマニアでしたしLSDマリファナの経験もありました。ジョブズが活躍を始めた時期、つまり70年代後半はエレクトロニクスとカウンターカルチャーが非常に接近していた時期だったと言えるでしょう。これはアメリカ独自の現象だったのではないかという気がします。

ローグの製作者もジョブズと同様にカウンターカルチャーに強い親近感を覚えていたのではないかと思います。LSDの件に加えて、もう一つ根拠があります。添付文書の「【運命の洞窟】へのガイド」を見ると、オプションの説明でキャラクターの名前を変更する例がありますが、その名前は「Blue Meanie」と書いてあります。これは1968年に製作されたサイケデリックなアニメ映画の「イエロー・サブマリン」に出てくるキャラクターの名前で、この映画にはビートルズがアニメのキャラクターとして主演しています。ローグの製作者もジョブズ同様にビートルズのファンだったのでしょう。

↓ 「【運命の洞窟】へのガイド」より抜粋

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こういったことを総合的に考えてみると、70年代後半から80年代前半にかけてエレクトロニクスとカウンターカルチャーの親和性が非常に高い時期があったのだと思います。ローグがただのお硬くて真面目なファンタジーではなく、どことなく人を食ったようなユーモアに満ち溢れているのはそういうところからも来ているのではないかなと思った次第です。