これまで Rogue for macOSはいろいろあるRogueの中でもいわゆるオリジナルとクローンの系統を扱ってきましたが、Rogueにはもう一つの重要な系統があります。IBM-PC版から始まる、Artificial Intelligence Design(以後、A.I. Designと表記)による系統とでも言うべき流れです。
A.I. DesignというのはオリジナルRogueの作者たちが商用のRogueを作る際に起こした会社で、IBM-PC版、Macintosh版、日本で発売されたPC-8801/9801版などがこの系統です。他にもAmiga版、Commodore 64版などがあったようです。
A.I. Design系統は概ねRogue V5(バージョン5.3。当サイトで扱っている5.4と実質同じ)の流れを汲んでいますが、怪物の「S」がsnakeではなくslimeになっていたりアイテムの内容が若干違うなどの差があります。以前の記事で触れた、水薬を怪物に投げると特殊効果を発するなどの違いもあります。外観にも大きな違いがあり、PC-8801/9801版を除くと拡張文字やグラフィックが使われているものが多かったようです。
わたし自身がA.I. Design系統にあまり馴染みがなかったこともあり、これまでここで話題にすることもほとんどありませんでしたが、以前の記事でクローン2日本語版を扱った際にA.I. Design系統が与えた影響の大きさに気づきました(情報を頂いた方々に感謝します!)。これはこれでRogueの大きな系統の一つとして考えるべきではないかと思い直し、今回Rogue for macOSにおまけ的な感じでA.I. Design系統の流れっぽいバージョンも収録することにしました。
今回追加したバージョンはとりあえず「DOS 1.48風」と名付けましたが、「風」と付いている通りに本物のA.I. Design系統ではありません。5.4のソースコードをベースにして、IBM-PC版の1.4xバージョンの要素を取り込んだものです。主にバージョン1.48を参考にしたので、1.48風としています。外観、アニメ的なエフェクト、怪物・アイテムの変更、内部動作、キー操作などをIBM-PC版に寄せています。
いうなれば、A.I. Design系統のクローンのようなものと言えば良いのでしょうか。このコンセプトはY.Oz Vox さんが公開しておられる5.4xを大いに参考にさせていただきました(修正の内容は全く異なりますが)。この場を借りて御礼申し上げます。
「寄せている」と書きましたが、完全再現は狙っていません。例えばキー操作は5.4系統も選べるようにしていますし、IBM-PC版にはオプションコマンドがないのですが「DOS 1.48風」ではオプション画面も開けるようにしています。外観はUnicodeの記号を使ってIBM-PCの拡張文字風に再現していますが、色合いは現代風に少しアレンジしています。怪物の色はIBM-PC版では1色なのですが、「DOS 1.48風」では5.4の種類による色分けをそのまま引き継いでいます。
これまでと同じように、基本的な機能は維持するけれども現在の感覚でも楽しく遊べる環境を目指しました。
IBM-PC版には「fake DOS」という変な機能があるのですが、それも再現してみました。
メインウインドウの「キー操作」で「DOS 1.48風」を選ぶと使えるようになります。「!」コマンドをタイプすると普通のRogueではシェルが起動するのですが、IBM-PC版ではDOSっぽい画面が現れます。これはあくまでダミーなのでほとんど何もできず、何を入力しても「Bad command or file name」としか返ってきません。「C:」のように入力すると「Invalid drive specification」と返ってきます。ゲームに戻るにはESCキーを押すか、「rogue」と入力します。
こんな機能が何のためにあるのかよくわかりませんが、学業や仕事中にこっそり遊んでいる時に誰かに見つかりそうになったらとっさにDOSっぽい画面を見せるためのものだったのでしょうか。Rogueっぽい遊び心が感じられる機能だと思います。
(「キー操作」で「5.4風」を選んだ場合は、これまで通りに本物のシェルが起動します。先生や上司が近づいてきたら冷静に「!」をタイプして普通にシェルの操作をしてください)
IBM-PC版の地味な特徴の一つとして、なぜかマクロ機能が充実しているというのがあります。メインページの「キー操作」で「DOS 1.48風」が選択されている時にはマクロ機能を使うことができるようになります。ゲーム中に「F(シフトを押しながら f )」キーを押してもマクロの定義ができます。ゲーム中のコマンドとしてF9かCtrl-F を押すとそのマクロを実行できるようになります。例えば5回分の探索をするマクロとして「5s」と定義しておくと、F9かCtrl-F を押すと自動的に探索を5回やってくれるようになるというわけです。
IBM-PC版にはないオプションとして、拡張文字ではない普通のASCII文字も選べるようにしてみました。モノクロにして「マップ文字」を「基本」に設定すると、見た目はクラシックな普通のRogueだけれども「S」を攻撃したら分裂したり「I」が遠くから凍気を放ってくるというなかなか恐ろしいシチュエーションが楽しめます。
ASCII文字でカラーにしたときはPC-8801/9801版の色合いに寄せるかどうかを最後まで迷ったのですが、ASCII文字の茶色の壁がなかなか新鮮でこれはこれでありかなと思ったのであえて寄せませんでした。ちょっとオシャレな(?)カラーでASCII文字のRogueをお楽しみください。
A.I. Design系統は、水薬を怪物に投げることで戦略的に使えるとか、よろいを守る巻き物がないのでよろいのありがたみが違ってくるとか、氷の怪物が容赦のない遠隔攻撃をしてくるので安全に近づく方法を考えないといけないとか、ゲームの遊び方もオリジナル/クローン系統とはだいぶ違ってきます。レベルが数値ではなくランク名で表示されるのもちょっと楽しいポイントです。
5.4やClone IIIとは違って本物ではなくあくまでなんちゃっての再現ではありますが、それっぽい動作をお楽しみください。


