今回、Rogue for macOSに「Hybrid Edition」を追加しました。
これは今までの「歴史的なRogueの機能や在り方をできるだけ維持したままカラー化や日本語化のみ行う」という方針とは全く違うもので、言うなれば「これまでMac用として公開してきた全てのバージョンの良いところ取り」を狙ったものです。オリジナルのRogueではありませんので、あくまでオマケのようなものだと思っていただければ幸いです。
バージョン5.4をベースにして、DOS 1.48、Clone III、バージョン 5.2の要素を取り込んでいます。
DOS 1.48から取り込んだ主な要素は以下の通りです。
- DOS 1.48仕様の怪物を選ぶことができる。怪物の名前が違うだけでなく、行動パターン、特殊能力、強さ、得られる経験値なども1.48仕様になる。
- DOS 1.48の巻き物仕様に置き換え(「武器を怪物殺しにする巻き物」と「白紙の巻き物」を追加し、「よろいを守る巻き物」を削除)。識別の巻き物は1種類で固定。
- DOS 1.48固有の水薬(体が動かなくなる水薬、のどをうるおす水薬)を追加。(置き換えではなく)
- 水薬を怪物に投げた時(および水薬を装備して攻撃した時)の特殊効果を追加。
- ゲーム開始時、ゲームオーバー時、階層移動のアニメーション描写を追加。
- 拡張文字による表示を選ぶことができる。
- マクロ機能を追加。
- アイテム選択画面で対象アイテムの種類から直接選べる。
- 落とし戸の罠から落ちた時のダメージ判定を追加。
- 1階のみダメージが半減される処理を追加。
- ゲーム開始時のメッセージを追加。
Clone IIIから取り込んだ要素は以下の通りです。
- 巻き物と水薬は使用したらそのまま名称が判明・確定する。名付けの必要がない。
- 直近5件のメッセージ履歴を表示できる。
- スコア画面のレイアウト。
バージョン 5.2から取り込んだ要素は以下の通りです。
- 5.2仕様の怪物を選ぶことができる。1.48と同様に、様々な仕様も5.2と同等になる。
Hybrid Editionの独自機能として、以下のものがあります。
- 空中に浮きあがる水薬と幻覚をおこす水薬を怪物に投げた時の特殊効果。これらの水薬は1.48には存在しないため効果を新設した。
怪物のセットはRogue for macOSのメイン画面から選ぶことができます。ゲーム中にどれを選んだのかわからなくなってしまうと困るので、「v」コマンドか「o」コマンドで怪物セットの確認ができます。また、DOS 1.48と5.2独自の怪物はそれぞれカラーを変えていますので、同じアルファベットでも色で見分けることができます。例えば、同じ「S」でも、へびは緑でスライムは青、などです。また、氷の怪物は5.4と1.48では同じ名前でも挙動が全然違うので、やはり色を変えています。(氷の怪物は5.4だと近づくと危険ですし、1.48では逆に離れると危険です)
巻き物に関しては、当初は5.4の仕様に1.48独自の巻き物を追加しようと考えたのですが、1.48と同じに「よろいを守る巻き物」はない方がゲーム性が増して面白くなるかと思い、1.48仕様に入れ替える形にしました。
水薬に1.48の「体が動かなくなる水薬」を追加した理由は、水薬を投げた際の特殊効果を追加した兼ね合いです。これを投げて怪物を止めるのは戦略として面白い要素だと思います。巻き物のように入れ替えではないのは、「空中に浮きあがる水薬」と「幻覚をおこす水薬」を削除するわけにはいかないと判断したからです。特に幻覚は以前のよもやま話にも書いたようにかなり凝った作りになっていますから、これを削除してしまったら5.4としての大きな特徴が削がれることになってしまいます。
水薬の独自機能に関しては追加するかどうかは迷ったのですが、5.4独自の薬だけ投げても何も起こらないのは不自然かと思い、あまり大袈裟にならない程度にひっそりと追加してみました。
「幻覚をおこす水薬」は「目が見えなくなる水薬」と同様に怪物が混乱する仕様にしました。幻覚が見えているので正常な判断ができなくなるというイメージです。
「空中に浮きあがる水薬」は他に同じような水薬が存在しないため、新規の機能を追加しています。怪物が浮かび上がることによって、アイテムや金貨を拾えなくなり、レプラコーンやニンフは盗難ができなくなり、ハエトリグサや菫の大キノコは拘束ができなくなるという仕様にしてみました。体が浮かび上がることによって物が拾えなくなったり近接の特殊機能が使えなくなるというイメージです。
バージョン別に遊べる仕様になっているのになぜHybrid Editionをわざわざ作ったのかというと、主に「5.4の操作性のままで1.48や5.2で遊びたい」という動機によるものです。
「それなら各バージョンの操作性を改良すれば良いじゃないか」と思われるかもしれませんが、個人的なこだわりとして、元の形をできるだけ壊したくないという気持ちがあります。
例えば、5.4の巻き物や水薬は使った後に名前をつけなければいけないというルールを変えてしまったら、それはもう5.4とは言えない何かになってしまうと思うのです。キー操作も然りで、5.2にコントロールキーを押しながら移動する機能を追加したら、それはもう5.2ではないと思うのですね。(ちなみに、5.4の識別の巻き物を1種類にするオプションは外すべきかどうかをずっと迷っています)
ゆえに、それぞれのバージョンを修正するのではなく、新しくハイブリッド版を作ることにしました。
5.4の細かなところまで凝っている仕様はそのままに、Clone IIIのようにサクサク進められて、1.48のように華やかで戦略性があり、5.2までのダンジョンズ&ドラゴンズの香りが感じられるもの。それがHybrid Editionです。
ただしこれはあくまで個人的な好みで作った亜流です。Rogueの本流はあくまで3.6・5.2・5.4であり、Clone IIIであり、1.48です。Hybrid Editionについては、「こんなRogueがあっても良いかもな」というような温かい目で見ていただければ幸いです。



